今回も、30年以上経った包丁の修理依頼です。
包丁が柄(え)から抜けてしまっています・・・。
まず、現状をよく把握しましょう。☝



・中子が錆ている
・柄の中に錆びて折れた中子の先の部分が残っている
・したがって、包丁本体の中子が短い
・柄が割れている
・全体的にサビが腐食
・包丁先端が欠けている
「全く切れない」「サビ」「柄の割れ」と、要するにフルコースの修理・調整。
ほぼ、全体リフォームのような感じになりました・・・苦笑!!
1.包丁先端部分の「欠け」を修正する。
先端部分がかなり欠けているので、グラインダーで修正します。
マジックでおおよそのアウトラインを決めます。



☆グラインダーをかけると、包丁に熱が出ます。
焼きが入らないように、冷やしながら少しずつ行います!



包丁の断面から、刃先の「鋼」の状態を確認です。
特に、「軟鋼」と「鋼」の合わせは、図のパターンのとおりですが、今回のように包丁の背の方からグラインダーをかけたのは、刃先の「鋼」を削らないためです。
刃先側を削ると、刃先の「鋼」も削れてしまいます。
軟鋼のみの刃先は、切れ味が悪くなります! 包丁とは言い難い・・・


「包丁の先端部分が欠けていく・・として」
図のように、カットしていって包丁が小さくなったとしても、刃先は大丈夫!
「鋼」があるうちは、切れる包丁ができます。
2.中子(なかご)の長さ確保
柄の中に入っている部分を「中子」(なかご)と言います。
チェック欄のとおり、腐食により、途中で折れて短くなっています。
まず、この中子の長さをもう少し長くしたい!

参考! < 中子の種類 ↓ >
① 差込型:和包丁によくあるタイプ
目釘があるタイプもある。② 背割り型:2つ鋲のタイプ ③ 背割り貫通型:柄の尻まで中子が入っている。
丈夫である。3つ鋲タイプ④ 合わせ柄型:全体的に中子を柄で挟んでいる。
カシメ法としては最も上部。3つ鋲タイプ※ 今回の包丁は、柄の中で中子が折れていました・・。
(1)「中子」の長さを確保するために、包丁本体部分を削り取ります。
そのために、削り取る部分にマジックでけ書きをする。


(2)冷やしながら、グラインダーをかける。



グラインダーをうまく使いながら、予定どおりの削りをしていきます。
これも熱による焼きが入らないように、冷やしながら慎重に行います。
中子部分の成形と錆び取りも兼ねて、グラインダーをかけます!






全体で、包丁先端部の欠け取りと元側の削りで、1cmぐらい包丁が短くなりました。

3.包丁の ” 背 ” の部分の直し
よく見たら、背の部分の「つぶれ」がいくらかありました。
たぶん、何かを叩いた?のかと思います。
ここは、砥石で取れそうなので、地道に行いました。



次回の投稿は、「修理その2:柄(え)の取り付け~完成まで」の予定です。
なにせ、フルコースの修理・調整となりましたので、2回に分けて投稿させて頂きます。ご了承ください!