前回は、50mmの鉋でしたが、今回は65mmの鉋になります。
私、個人的には50mmの鉋は、比較的小の部類の鉋という感じ。
65mmとなると中以上の大きさで、台自体もぐっと大きさを感じます。
大工さん達も使っている、一般的な大きさです。
砥ぎ・調整のやり方は、鉋の大小問わず同じです。
ただ、15mm鉋身が大きくなると、砥ぎはかなり難しい・・・。
砥石も、横幅いっぱいを使います。
☆なお、今回依頼された鉋は、新品でほとんど購入時のものです。
でも、そのまま使うことは出来ません。
1.まずは、状態をチェックします!
・刃先の水平を確認したら、若干、左側にすき間があるので修正必要。
・刃を差し込んでみたら、こっぱ返し部分が狭すぎる。
・押さえ溝もきついので、修正が必要。
・台の下端、平らなままなので、修正が必要
特に、鉋台の下端にあてて水平を確認する場合、とても便利です。
値段は・・・、安くないですよ。苦笑
■映像のように、鉋下端の水平を確認チェックしますが、途中のへこみ部分が、かんなの刃先を避けてくれます!
2.かんな身(穂)の砥ぎ
①刃先を水平に直します。
■刃を垂直に立て、刃先の先端部分のみを水平になるまで砥ぎます。あまり掛け過ぎないように、素早く行います。
②裏出しを行います。
■#1000のダイヤモンド砥石で裏出し。
ダイヤモンド砥石は使っていても、へこみが少ないので、特に平面に仕上げる場合は利用しています。
③鎬(しのぎ)面の砥ぎ
この面はしっかりしていましたが、やはり刃先は鋭利にしたいので、さらに砥ぎを行います。
3.裏金の砥ぎ
裏出しがされていないので砥ぎを行います。
■裏金の下側部分は砥がないように、また砥石を保護するために、私は砥石の右側半分にクリヤファイルを所定の長さに切ったものを置いて裏出しを行います。
4.刃の合わせ
■かんな身(穂)と裏金を合わせて、がたつきがないかを確認します。
5.台の修正、調整
■「こっぱ返し」「押さえ溝」をそれぞれ削り直します。
また、下端をきちんと調整します。
※今回準備した「ストレートエッジ」で下端の確認!
定規のへこみ部分が刃先にあたらないので、便利です。
刃口と台尻下端の接地部分のみを残し、台直し鉋で削りました。
少し削り過ぎた感じです・・・苦笑。
6.試し削り(鉋掛け)
■刃先の調整
■刃の出を確認して、調整を行います。
0.5mm以下に刃先を出しますが、ほんのわずかです。見た目だけでは削り具合が分からないので、実際材料にかけてみて、刃先の出が少ないようであればさらに出して、材料に食い込むようであれば引っ込めて・・・を繰り返しながら調整します。
■試し削り(鉋掛け)
30mmの細めの材料に鉋掛けをしてみました。
かんなくずが途切れることなく、材料と同じ幅で出てきました。
何とか、使えそうです!!!
※何回掛けても、同じようなかんなくずが出てきました。
「砥ぎ」が鋭ければ、もっと薄いかんなくずになるかと思いますが、まだまだその技能が・・・。
今、大工さんも少なくなってきているとか・・・。
日本の伝統技術は素晴らしいのですが、特に若い人達(20代)の希望者が、なかなか増えないそうです。
先日、建築屋さんの社長さんとお話する機会がありました。
今は、鉋も「替え刃」を使っている大工さんもいるとか・・・。
刃先だけ、使い捨てになるようです。
実際、「砥ぎ・調整」にかかる時間を考えれば、妥当なのかも。
ただ、「砥ぎ・調整」に関する知識や技能は、やっぱり身に付けておくことがベストなのでは、と私は考えています。