鉋(かんな)の調整、砥ぎです。
結構な作業工程があります。
簡単ではありません・・・。
果たして、使える状態まで仕上げることができるかどうか?
1.鉋(かんな)の名称・種類
■上記のかんなは、平鉋(ひらかんな)といい、次の2種類があります。
一枚刃かんな(かんな身1枚のみ)
サイズ:50~80mm
材 質:樫(カシ)
用 途:木口削り、面取り、横削りなど
特 徴:材料に対して縦に削ると逆目(さかめ)が起きやすい。
二枚刃かんな (かんな身と裏金の2枚)
サイズ:50~80mm
材 質:樫(カシ)
用 途:板や角材などの表面を平滑に削る。
特 徴:用途により、
荒カンナ、中仕上げカンナ、仕上げカンナがある。
二枚刃の裏金は逆目止めの機能をする。
☆今回依頼の鉋は、二枚刃かんなです。
50m/mと小さめのサイズの鉋で、中学校や高校の授業でも使われているような鉋です。
2.状態の確認
表側の刃先も砥がれていない。
刃先がでこぼこ、水平になっていない。
こっぱ返し部分が狭い。かんな身の押さえ溝部分が狭い。
3.かんな身(穂)の調整・砥ぎ
(1)刃先の「欠け」をとる
「砥ぎ」で欠けをとるには、結構な労力を必要とします。
したがって、今回はグラインダーでならします。
グラインダーでは刃先に熱が出るので水で冷やしながらかけます。
特に、かけ過ぎて焼きが出ないように注意しながら行います。
満遍なくかけたら、定規で水平を確認します。
(2)刃先の両端、耳の部分を調整
台本体のこっぱ返し部分よりも、かんな刃が広いので、若干耳の部分をカット(削り)します。
刃先が広いと、かんな屑(くず)が押さえ溝と刃の間に挟まることがあるので、私はこのように、こっぱ返しの幅に合わせています。
両サイドの耳の部分をカットしました。
(3)砥ぎ
■最初に、裏出し(裏押し)を行います。
裏出し:かんな裏側の刃先部分に平面部分を作り出し、刃先を真っ直ぐ鋭利な刃に砥ぐことができるように再生する。
※裏出しは、表側から鎬面を叩いて裏側を押し出してから砥ぐ場合もありますが、このように砥石のみで裏出しを行うやり方もあります。現在はこのやり方が多いかも・・・。
※裏出し部分、糸裏ともいいますが、今回の鉋は糸裏部分の幅が広いので、ベタ裏ぎみになりました・・・。
■次に、かんな身(穂)を砥ぎます。
今回は、刃先の欠けを削ったので、刃先の幅がかなり残ってしまいました。
したがって、砥石のみで刃先をつくるのは、結構な労力が必要となります。
ある程度、グラインダーをかけてから砥ぎを行いました。
※グラインダーをかけると、鎬面が凹む状態になります。
砥ぎを行う場合、刃先部分と根元部分の2点が砥石にあたりますので、
平らに砥ぐことができます。
大切なことは、刃先が丸くならないように(丸刃)することです。
丸い刃先は、材料がうまく削れません。
これは、包丁と同じです。
刃先にグラインダーをかけるのではなく、鎬面(しのぎめん)全体にかけて、鎬面が凹む(へこむ)状態になればOKです。
■砥ぎは、#320で荒砥ぎ、#1000で中砥ぎ、#8000で仕上げ砥ぎを行いました。
50mmのかんな身なので、すっぽりと手のひらに収まり、砥ぎやすかったです。
次回の鉋の調整・砥ぎ(その2)は、①裏金の調整・砥ぎ、②穂と裏金の合わせ整、③かんな台の調、④ためし削り
を投稿したいと思います!