今回は、剪定ばさみの砥ぎ依頼です。
30年モノだそうです。
まずは状態のチェックから!
・若干、刃先の欠けがあり
1.剪定鋏の分解
裁ちばさみと同様に、ボルト、ナットをモンキースパナでしっかりと挟んで外します。
ナットが弱く滑るので、ヤマを壊さないように注意が必要です。
単純な構造で、バネを溝に差し込んでいるだけです。
2.サビ落とし
結構なサビの状態です。
私的なサビ落としの手順ですが、
①クレンザーで洗う
②インパクト(#240)のブラシでサビ落とし
③耐水ペーパー#1000でサビ落とし
④細かい耐水ペーパー(#3000、#5000、#7000、#10000)で磨き
こんな感じでサビ落としを行います。
①~③で、ある程度のサびが落ちます。
④では、その時の状況に応じて使い分けています。
☆今回は、仕上げに#5000、#7000、#10000で磨きました。
☝ 細かい耐水ペーパは、ホームセンターにはありません。ネット注文で取り寄せました!
3.切り刃、受け刃の砥ぎ
剪定ばさみの構造・各部名称(特殊な構造です。ご参考までに!)
<切り刃の砥ぎ>
まず、切り刃から砥ぎます。
刃先の欠け部分を取ってしまいます。
垂直に刃を立てて砥ぎ、刃先の欠け部分を確認します。
次に刃先の砥ぎとなりますが、切り刃は曲面になっています。
その曲面の角度を保ちながら砥がなければなりません。
これは、難しい・・・!!
※ナニワ研磨工業の「剛研」曲線刃用砥石(#1000)でも、切り刃の局面を砥ぎました。
☆剪定ばさみの鋼は、軟らかい感じがします。(個人的に)
調子に乗って砥いでいると、必要以上に砥ぎすぎてしまいます・・・。
なので、個人的にはあまり砥ぎすぎないように、返りがさっと出たら終了です。
<受け刃の砥ぎ>
受け刃は、ご存知のとおり内側の曲面刃先になっています。
通常の平らな砥石では砥ぐことはできません。
そこで私は、
四角い砥石を、かまぼこ型に削ったものを作りました!!
最初にグラインダーで大ざっぱに削りました。
砥石修正用ダイヤモンド砥石で仕上げて、かまぼこ型に!
基準の曲面線は付けましたが、あとは感覚で仕上げました。
砥石と受け刃の曲面はぴったり合いませんが、
いろいろと位置をずらして、何回かに分けて砥いでいきます。
切り刃も受け刃も裏側は平らな面ですが、こちらは砥いではいけません。
裏すきされています。要注意です!
組み立て
砥ぎが終了したので、取りあえず切り刃と受け刃を合わせてみます。
特に問題がなければ、
ナット&ボルトで締め付けます。
刃物油をさしましたが、締め付けはかなりキツかったです。
ナットのヤマが若干崩れました・・・。
次にバネを差し込みます。
溝に引っ掛ける感じです。
はさみの開閉を何回か行います。
バネが効いてスムーズに開けるように、ちょうど良い締め付け位置を見つけます。
剪定ばさみは普段は留め金で柄を止めて保管します。
使用時には、柄が開いた状態になるように留め金をはずします。
before and after
■剪定ばさみも、いろいろな種類があります。
今回の剪定ばさみは、古くからあるタイプのものかと思います。
錆びて切れ味も良くなかったですが、
手を加えると(調整、砥ぎ直し)、これからも何年も使えます。
握った時の柄の感じも、とても手のひらにフィットします。
使用後は、洗った後によく乾燥させて、
刃物椿油を塗布して保管してもらえればと思います。