今月最初の依頼は、「刈り込み鋏」でした。
当HPをご覧になった方からの依頼です。
工房まで持参してくれました。
・刃先が丸い
・ネジ式のタイプ(他にはカシメのタイプもあります)
特に問題はなく、ネジ式のタイプなので、表と裏の刃(刈り込み鋏なので木の柄がついています)を分解して、ハサミと同様に仕上げていきます。
1.分解してみましょう
サビの付着はあるものの、刃のかみ合わせも、柄もしっかりしています。
ナットの角をつぶさない(丸めない)ように、慎重にスパナで回してはずします。
取りはずすと分りますが、
表はまるのネジ穴、裏は表のまるを若干小さく細くした感じの長まるです。
ボルト、ナット、ワッシャー、スプリングワッシャーで留めています。
2.サビ取り
ブラシで水洗い、汚れを取り、その後にサビ取りをします。
サビがけっこう中に入り込んでいます。
☆サビ取りは、映像の程度で妥協しました。
(耐水ペーパー#300、#1000を使用)
3.砥ぎ
■砥ぎの留意点
したがって、通常の砥ぎ方でなく
砥石の高さを変えないと砥ぎづらくなります。
■水平にして見ると・・・
柄の方が下がっています。
■それぞれの刃は、
これぐらいの曲がりがあります。
■通常の砥石の位置だと
柄が流し台の手前にあたって
とても砥ぎづらい・・・。
■このように砥石の高さを変えると
スムーズに砥げます!
(厚い砥石にのせただけです)
■裁ちばさみと同様に、
刃をかなり立てて砥ぎます。
■砥ぎ自体は、裁ちばさみの砥ぎと変わりません。
刃が長いので、その分時間はかかります。
■しのぎから刃先までを砥ぎました。
この部分のサビはすっかり取れました。
■裏面は、サビを落としただけです。
■刃を合わせてみます。
4.組み立て
組み立ては、
①裏側の刃(丸いネジ穴)にネジを入れる。
②表側の刃(長まるのネジ穴)を合わせる。
※これが逆だと、はまりません!
③ワッシャー、スプリングワッシャーを入れる。
④ナットで締める。
5.調整、確認
刃の開閉を何度か行って、試し切りをします。
刃の接点がきちんと合っているかを確認します。
そして、なめらかな、スムーズな開閉状態になるように、ナットの締め具合を調整します!
したがって、草木の液や土などが刃先につきます。
↓
① 使い終わったら、水洗いをして汚れをきちんと取りましょう。
② 次に、乾いた布で水分をよく拭き取り、乾燥させましょう
③ 特に刃先には、刃物油などを塗ってから保管しましょう。
<☝ 参考!>
「刃物椿油」
鉋(かんな)、鑿(のみ)、鋸(のこぎり)、刈り込み鋏、鎌、鉈(なた) など、使用後に!
下着生地の布を使うのがベストです。
(布に染み込んで油がよくのびます)