少し遠くの町内に住んでるおばあちゃんが、包丁の砥ぎを依頼に来ました。
私は不在だったので、女房がお会いしたとの事。
我が家の付近をウロウロしていたそうです。
ちょうどその時、付近の子供達が遊んでいて、その子のお母さんに「この辺りに、包丁の砥ぎ屋さんはなかったですか?」と聞いたらしい。
「向かいの家です」と教えてもらい、我が家に来ました。
「以前、この辺りに、砥ぎ屋さんがあって砥いでもらった事があって来たのですが…」
おばあちゃんは、うちに頼みに来たのではなかったのです。
そう言えば母親が、一つ向こうの通りに「砥ぎ屋さん」があったと言ってました。
今はやっていないそうです。
おばあちゃんも記憶に残っていたみたいですが、探しているうちに通りを間違って、うちの辺りまで来てしまったそうです。
偶然と言えば偶然!
何かのご縁です!
女房も丁重に包丁を受け取って、高齢でもあることから、おばあちゃんの自宅まで一緒に歩いて送って行ったそうです。
(おばあちゃんの自宅は歩いて15分ぐらいの所です。車は私が所用で使っていたので。)
今は情報をすぐ取れるので、「砥ぎ屋さん」を探そうと思えば簡単です。
そして電話、メール、ネット等で注文可能です。
多分、おばあちゃんは、そういう生活(生き方といった方がよいのかも・・)をしていないのだろうと思います。
そしておばあちゃんは、今までもこうしてきたのでしょう。
「包丁は切れなくなったら、砥ぎ直して使う!」
だいたい、どこの包丁砥ぎ屋さんでも、砥ぎ代は、1,000円前後です。
当工房も砥ぎ代金は、一律1,000円です。
100均でも包丁は買えます。
最初は、切れ味も悪くない。
そのうち、使っていると切れ味も悪くなってきます。
そこで、また100均で包丁を買う。
それでも、200円。
砥ぎに出すと、1000円。
まだ、800円も安い・・・。
100均で、1000円分の包丁を買うと、10本。
なので、
「切れなくなったら、新しいのを買えばいい。
1000円の砥ぎに出すよりも断然、お得!!」
このことについては、何も言えません。
人それぞれの価値観がありますので・・・。
でも、使われなくなった包丁は、どうなるの?
ということなんです。
私も100均は、おおいに利用しています。
同じものを買うなら、安いほうから買います。
そして、けっこう長く使えます。
というか、捨てるものはいたって少ない。
(消耗品類は別です。
ex.テープ類や封筒、カセットコンロ用のガスボンベ、その他たくさん・・)
でも、包丁はどうなるのでしょう。
包丁は、消耗品?
「包丁は半永久的に使えるもの」
砥ぎ屋さんは、誰もがそう思っているでしょう。
どんなに錆びても、
刃が欠けていても、
柄が取れていても、
「砥ぎ直して調整すれば、また使える!」
おばあちゃんの包丁も、丁寧に砥ぎ直して、お渡ししました。
「あまり力を入れなくても切れたので、良かったわあ。」
と喜んでもらえて、こちらもとても嬉しいです。
やはり、長年使ってきた、愛着のある、手になじんだものを使いたい、という思い、
そして 価値観 。
今は、核家族社会。
二世代、三世代の大家族は少ない。
合わせて、「料理をする」「料理を作る」といった行為も少なくなってきてるのでは・・・。
まして、
「魚をさばく」・・・なんていうことは、経験のないご家庭もあるのでは。
スーパーでも切れ身だけで売っていて、すぐ調理できるものもあるし・・・。
鍋の食材もひとパックに入っていて、すぐ鍋に入れて煮ればよいだけ、とか。
サラダなどもパックから取り出して、お皿に盛り付ければいいだけ・・・。
しかしながら、
愛用の包丁でお料理している方々も、たくさんおります。
キャベツの千切りなど、包丁の切れ味が良ければ、とても気持ちよく食材を準備できます。
なので、切れ味の芳しくない包丁があれば、砥ぎ直してあげたいと思うのです。
それが、1000円。
高いのか、妥当なのか、安いのか・・・。
100均の包丁でOKなのか。
もうそれは、人それぞれの 「 価値観 」 なのだろうと思っています。
追伸. 今回は映像なしの、ベタ打ち・・・。ご了承ください。